音楽で健康管理できるって本当!? 音楽療法士に学ぶセルフケア術

皆さんは、普段から心や体をケアしていますか? 何かとストレスがたまりやすいビジネスパーソンにとって、心身の健康を自ら管理する“セルフケア”は欠かせないもの。

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音楽で健康管理できるって本当!? 音楽療法士に学ぶセルフケア術
皆さんは、普段から心や体をケアしていますか? 何かとストレスがたまりやすいビジネスパーソンにとって、心身の健康を自ら管理する“セルフケア”は欠かせないもの。

とはいえ、セルフケアと聞くと「専門的で難しそう…」と敬遠してしまう人もいるのではないでしょうか。     

そこで今回は、一人でも手軽にできる“音楽を取り入れたセルフケア術”に注目。疲れやストレスがたまったときに限らず、日頃から健康を保つために効果的な、音楽によるセルフケア術を、米国認定音楽療法士の佐藤由美子さんから学びましょう!

ビジネスパーソンがセルフケアをすべき理由


“セルフケア”とは読んで字のごとく「セルフ(自分)のケア(思いやる)」という意味で、自分の心身の健康を保つために行うものです。

では、ビジネスパーソンにとってセルフケアはなぜ大切なのでしょうか。佐藤さんはその理由として、以下の2つを挙げます。

・他者と良好な関係を築くために必要
「他者とよい関係を作るためには、まず自分自身のケアをして心身を整えなければならない」と佐藤さんは言います。セルフケアをしないと、周りに対する余裕がなくなり、仕事にも影響が出かねないのだそうです。

・個人の不健康は企業の損失になる
佐藤さんによると、近年アメリカではセルフケアの重要性が、医療やビジネス界に浸透しはじめているんだとか。個人が健康管理をしないと、それは企業にとっても損失になるという認識が共有されているのです。

“音楽を用いたセルフケア”と“音楽療法”とは違うの?


風邪を防ぐために手洗い・うがいをするように、セルフケアは体や心の不調を未然に防ぐために行う健康管理の一つです。その点、音楽療法的要素を取り入れたセルフケアは、音楽を聴ける環境さえあれば手軽に行うことができるため、実践するビジネスパーソンが増えているのだそう。

ちなみに、“音楽を用いたセルフケア”と“音楽療法”とは同じものではないのでしょうか。

佐藤さんによれば、音楽療法とは、「心身の健康の回復や向上を促すために、効果的に音楽を利用すること」を指すとのこと。なおかつその治療は「臨床的かつ根拠に基づいた利用法で、なぜ音楽が効くのか、どのように音楽を利用すれば効果的なのかということを研究し、その結果に基づいて行います」と佐藤さんは言います。

定義だけ聞くと、“音楽を用いたセルフケア”と“音楽療法”は変わらないようにも思えます。しかし本来音楽療法は、音楽療法士と対象者の“治療関係”の中で行われるもの。その関係性が、セラピーにおいて最も重要な要素であるため、“音楽を用いたセルフケア”のように、単に個人で音楽を聴くこと自体は、音楽療法といえないのだそうです。よって今回は、音楽療法ではなく、自分でできる“療法的な”音楽の用い方として、皆さんがどのように音楽を使うべきかをご紹介していきます。

音楽を取り入れたセルフケア術3つのコツ


音楽療法に限らず、セルフケアの基本は“十分な休息をとること”だと佐藤さんは言います。

体は疲れているのに、頭はさえていてなかなか寝付けない。寝付いても夜中に起きてしまう。十分な休息がとれていないため、仕事に集中できない……。そんな状況を改善するための音楽の取り入れ方として、佐藤さんは以下の3つを挙げています。

ポイント1:自分に合った音楽を見つける

まずは心と体をリラックスさせるための音楽を見つけます。これは簡単なように思いがちですが、そうでもありません。音楽に対する解釈や反応には個人差があるため、どの音楽でリラックスできるかは、あくまでも主観的なことだそう。つまり、「“これを聴けば誰もがリラックスできる”という音楽はなく、自分に合った音楽を見つけるためには、さまざまな音楽を実際に聴いてみる必要があります」と佐藤さんは言います。

人がどのような音楽でリラックスできるのかは千差万別です。しかし「自分で見つけるのが難しい!」という方もたくさんいるはず。ここでは参考として、佐藤さんがお薦めする心と体をリラックスさせる音楽を、いくつかご紹介します。

おすすめ1:おなじみの曲が癒やしをもたらす

『When You Wish Upon a Star』Daniel Kobialka

「誰もが知っているようななじみ深い曲のコレクション。知らない曲より、聞いたことのある曲のほうが気持ちが落ち着く、という人に向いています。子どもから大人まで活用できるCDです」

おすすめ2:心地よいフルートの音色は聴く価値あり

『Migration』Peter Kater & R. Carlos Nakai

「カルロス・ナカイは有名なネイティブ・アメリカン・フルートプレーヤーです。ピアノやチェロによるハーモニーが加えられています。フルートのメロディーだけでは落ち着かない人や、フルートはそんなに好きではない人も、一度は聴いてみる価値があります」

おすすめ3:聴く人を前向きにするニューエイジ音楽の代表

『Silent Path』Robert Haig Coxon

「代表的なニューエイジ音楽。知らない曲の方がリラックスできるという人にお薦めです」

おすすめ4:セラピストも認める落ち着いた調べ

『The Yearning:Romances for Alto Flute』Michael Hoppe,Tim Wheater

「このCDをマッサージのセッション中に使うセラピストもアメリカには多くいます。アルトフルートが落ち着いた雰囲気を作り出しています」

ポイント2:音楽を聴く時間を設ける

自分に合う音楽を見つけたら、音楽を聴く時間をつくります。

これも簡単に聞こえますが、ただ音楽を聴くだけではありません。佐藤さんいわく、「重要なのは、何かをしながらバックグラウンドに音楽を流すのではなく、心身をリラックスさせるために意図的に音楽を“聴く”こと」。せっかく自分に合った音楽が見つかっても、それをどのように聴くかによって、音楽が心や体に与える影響が変わってくるのだと言います。

例えば寝る時間の30分前に、パソコンやスマホの使用をやめて音楽を聴く時間をつくる。もしくは、一日の忙しいスケジュールの中で10分間でも音楽を聴く時間をつくってみる。そうすることで、ストレスの多い一日を乗り越えることが可能になるのだそうです。

ポイント3:リラクゼーションのための聴き方を実践する

自分に合った音楽を見つけ、音楽を意識的に聴く時間をつくったら、あとは音楽によるセルフケアを実践するのみ。実際に音楽を聴くときには、以下の4つのステップを踏みます。

1.照明を暗くし、落ち着いた空間をつくる
2.居心地の良い姿勢になる(横になるか、椅子に座る)
3.ゆっくりと呼吸をする
4.少しずつ体の力を抜き、音楽を聴く

これらの段階を踏むことで、ただ音楽を聴くよりもリラックスすることができ、セルフケアの効果を高めることができるのだそうです。

継続には自分の意志が大切


いかがでしたでしょうか。佐藤さんは「セルフケアで最も重要なことは、それをしようという本人の意志」 だと言います。自分の心身の健康を保つのは大切なことですが、それを継続するには自分自身の決心が必要なのです。私生活と仕事を充実させるためはもちろん、大事な体のためにも、今日から音楽を使ったセルフケアを始めてみてはいかがでしょうか?

識者プロフィール


佐藤由美子(さとう・ゆみこ)/ホスピス緩和ケアを専門とする米国認定音楽療法士。バージニア州立ラッドフォード大学大学院音楽科を卒業後、オハイオ州のホスピスで10年間音楽療法を実践。2013年に帰国。現在青森県在住。米国音楽療法学会誌やオンラインジャーナルにて音楽療法に関するさまざまな論文や記事を発表。著書に『ラスト・ソング』(ポプラ社)がある。ブログ「佐藤由美子の音楽療法日記」、Facebook「Yumiko Sato Music Therapy」、Twitter「@YumikoSatoMTBC」など。

※この記事は2015/05/21にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています
《編集部》

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