【資料作成術】少ない労力で相手に理解してもらう!スライド資料作成時に使える5つの心得(山口周)

ビジネスパーソンは、上司や顧客などに向けてスライド資料を用いてプレゼンテーションや提案を行う機会が多いもの。

【資料作成術】少ない労力で相手に理解してもらう!スライド資料作成時に使える5つの心得(山口周)

ビジネスパーソンは、上司や顧客などに向けてスライド資料を用いてプレゼンテーションや提案を行う機会が多いもの。

そしてその資料の見え方次第で仕事の成否や、社内での評価が変わることもあります。そこで、今回『外資系コンサルのスライド作成術』(東洋経済新報社)の著者である山口周さんに「少ない労力で、より早く、より正確に相手に理解してもらえる資料」を作成するテクニックについて、実際の図解資料を見比べながら、解説してもらいました。

【メソッド1】スライド作成時の手順を守る。


まずスライドを作成するにあたり、大前提として知っておくべきことがあります。それは、スライド作成には正しい手順があり、その順序を守って書くべきだということです。

自分がスライドを作成する場面に直面すると、「グラフ/チャートを書くこと」から手を付ける人が多いように思います。しかし、このアプローチは時間を無駄に浪費しやすく、オススメできません。なぜなら資料全体を通して言いたいメッセージやストーリー展開を考えないで作った資料は、後で使わず省いてしまう「死にスライド」になってしまいやすいからです。「グラフやチャートで言えること」をメッセージにするのではなく、伝えたいメッセージが「主」となり、グラフ/チャートはメッセージをサポートするためのツールであることを認識しましょう。

スライドの良し悪しは、メッセージで決まる


前述の通り、スライドの良し悪しはいかに明確で端的なメッセージを作成できるかで決まります。「良いメッセージ」には共通する3つの条件があります。

条件1:1スライド1メッセージになっている


1枚のスライドに対して、このスライドでは何を伝えるかという的を1つに絞ることで、見た人が必要な情報を理解しやすくなります。逆に1枚のスライドに2つ以上のメッセージを入れ込んでしまうと情報過多となり、相手に理解してもらうのに必要以上に時間がかかってしまいます。もし、1枚に2つ以上のメッセージがある場合は、欲張らずに2枚に分割させましょう。

メッセージが2つあり、棒グラフと表が1枚に共存したデータは情報過多。

メッセージが2つあり、棒グラフと表が1枚に共存したデータは情報過多。

 

表を分け、年を2001年と2010年の2つの年のみにフォーカスを絞ったスライド。よりシンプルなスライドを心掛けましょう。

条件2:明快な主張がある(=ポジションを決める)


若い人に多いのが、グラフ/チャートなど、データ分析の結果から得られる考察や自身の解釈を書かずに、分析内容そのものをただメッセージにしてしまうケースです。「自分はこう思う」と主張する(=ポジションを決める)ことで、相手の解釈との間に食い違いが生まれることを恐れているからです。しかし、自身のポジションを決めないと、スライドの意義が伝わりづらく、ぼんやりとした印象を与えてしまいます。ですから、逆のポジションを取る聞き手を想定し、その相手を納得させることができるように、主張をシャープにする努力をしましょう。

条件3:短い(=ポイントが明快である)


メッセージの文字数の目安は30字程度。どうしても長くなる場合でも、60字以内にとどめましょう。30字というのは、20pのフォントでメッセージを書いた場合、A4のスライドで、1行に収まる分量ということになります。「less is more」という言葉がありますが、シンプルさこそがスライドのメッセージにおいて大切な要素であることを覚えておきましょう。

【メソッド2】アイデアは手書きでメモ。スライド作成は行程の最終段階に。


いざスライドを作る場面に出くわすと、取りあえずパワーポイントを立ち上げて作業を早速開始する人が多いと思いますが、これは間違いです。PC上でアイデアを練るのは、操作としてかなり手間だからです。

仮にプレゼンや資料共有まで2週間の期間が与えられた場合、実際に手を動かしスライド作成の作業をするのは最後の3日間で取り掛かる方がベター。最初の1週間にすべきなのは、むしろ、求められているスライドはどういうものなのか、上司やクライアントから上手に聞き出すことです。これを軽視し怠ると、いくら資料作成に時間をかけても全く評価されませんから十分な注意が必要です。

何が求められているかを理解した後に、趣旨に沿ったデータを調べ、必要データが出揃った段階で、伝えたいメッセージの要点を書き起こします。その後に、グラフやチャートの見せ方、順序などを手書きのメモ用紙で考えて、整理がついた段階で、ようやくスライド作成を開始するべきなのです。つまり、パワーポイントなどスライドの作成ツールに触るのは、最後のアウトプットのときのみということになります。

(上)山口さんが普段グラフなどを最適化する上で、使用しているメモ用紙。(下)全体のまとめから逆算して、スライドに起こすようにする。

【メソッド3】パッと見でメッセージの意味が分かるスライドを意識する。


書き方のメソッドを覚えたら、次は複雑なデータや概念を短時間で理解させられるグラフを作れるようになりましょう。スライドを見た瞬間、相手に直感的に「分かる」と思ってもらうためには、グラフの「数値を視覚化させる」スキルが必須であり、最重要のテクニックなのです。


データを示すグラフを用いる際に、「棒グラフ」、「折れ線グラフ」、「円グラフ」、「面積図」などの選択肢があります。そして、それぞれのグラフに得意なもの・不得意なものがあります。グラフの選択を見誤らないことこそが、シンプルで分かりやすいスライド作りに大切です。

 


この2つのスライドを見比べてください。これらのスライドは、株式市場に新規参入を検討している企業に向けて、データから「既存の顧客の指名買い率が低い」という情報を伝えることで、「参入の余地が大きいこと」を説明するために作られたスライドです。

「指名買いをしているのは2割弱。新規参入の余地は大きい」というメッセージに対して、ビジュアルでその情報の意図が直感的に理解しやすいのは、全体に占める割合が小さいことが一目で判断できる円グラフで、こうした全体における比率が見たい場合は、棒グラフではなく、円グラフを使うべきだということが分かります。

【メソッド4】ボリュームのインパクトを視覚で表す。


グラフのフォーマットは、あくまでシンプルであるべきですが、数字の差を視覚上のボリュームに反映させることで、資料を見た人の理解のスピードが格段に早くなります。


上のスライドを見てみましょう。こちらのグラフでは「デバイス製造」「システム構築」など、各市場のシェアが数字で表されています。しかし、このスライドで伝えたいB社の「システム運用」の領域での圧倒的なシェアの大きさを直感的に表現しきれていません。


一方こちらは同じ情報を「市場」と「シェア」を面積で示し、A社にシェードをかけたグラフです。B社のシェアの大きさとA社の弱みを視覚的に把握できるようになりました。このように、市場領域の大小や競合企業と自社の市場に対するインパクトを表現したい場合、「視覚ボリューム」に訴えかけることで、より相手に伝わりやすい資料になるのです。

【メソッド5】情報を無秩序に並べず、縦と横の軸を決める。



上のスライドを見てください。これは、企業の情報管理体制に関する問題を指摘しているチャートです。個別の情報には、それなりに意味がありそうですが、そこから問題を導くことができません。何故なら、特性の異なる情報を無秩序に並べているにすぎないからです。デザインとしてはインパクトがあるかもしれませんが、情報の並びにルールが決まっていない場合、チャートにする意味を感じません。しかし、個別の要素を注意深く見ると「問題指摘」と「改善方法の示唆」という2種類にデータが分類されていることが分かります。


そこで同じ情報を、縦軸は「問題指摘」・「改善方法」として、横軸には製造行程の部署ごとのタイムラインとしてまとめると、上のような図になりました。「縦軸」と「横軸」をロジックを組んで情報を整理すると、製造の行程での問題点が明確になっていないことも分かります。このように縦軸と横軸にルールを作り情報を整理することで、初めて浮き彫りになることもあるのです。

ビジネスパーソンの必須スキルであるにも関わらず、人から教えてもらうことの少ないスライド作成のスキル。いかがでしたでしょうか? これらの要点を押さえることで、明日からの資料作成スキルが確実に向上すると思います。早速、実践してみてくださいね!

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PROFILE
山口周/1970年東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、BCG等を経て、現在はヘイグループ プリンシパルに。著書に「外資系コンサルのスライド作成術」(東洋経済新報社)、「天職は寝て待て」(光文社新書)等。
ヘイグループ

※この記事は2014/02/19にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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