芸人よりオモロイ!! テレビ界の舞台裏を支えるアイデア命の構成作家とは?

華やかなイメージがあるテレビやラジオ番組の世界。私たちからは見えないその舞台の裏には、制作に携わる多くの人たちがいます。

スタディ 雑学
芸人よりオモロイ!! テレビ界の舞台裏を支えるアイデア命の構成作家とは?
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華やかなイメージがあるテレビやラジオ番組の世界。私たちからは見えないその舞台の裏には、制作に携わる多くの人たちがいます。

友達からSNSでシェアされた動画も、目の前で笑いながら見ているバラエティー番組も、実は構成作家や放送作家といわれる人たちの活躍があって、1つの企画がより面白いものへと調理されていることを、あなたはご存知でしょうか?

今回は、テレビ番組「あらびき団」をはじめ多くのバラエティー番組の制作に携わり、渡辺直美さんやシソンヌなど、何組ものお笑い芸人のネタ作りに協力している構成作家の今井太郎さんに、構成作家という仕事について根掘り葉堀り伺いました!


お笑い芸人志望から構成作家へ


バラエティー番組の場合、構成作家(放送作家)が中心となってアイデアを練り、番組全体の流れやそれぞれコーナーの企画、出演者のセリフやナレーションなどを手がけるそう。著名な方だと、鈴木おさむさんや高須光聖(たかす・みつよし)さんなどの名前が挙がります。

今年、フリーランスの構成作家として10年目を迎えた今井さんは、笑いの絶えない関西で生まれ育ったこともあり、一時は真剣にお笑い芸人を目指していたこともあるのだとか。

「子どものころからお笑いは好きだったのですが、関西という土地柄のせいか周りは自分より面白い人ばかり。進路について迷っていたとき、企業に就職することも考えましたが、お笑いへの夢を捨てきれなくて。『お笑いの裏方やサポートなら自分にもできるかも』と思い、大学を卒業後は吉本NSC(芸能人育成の養成所)の構成作家コースで1年間学びました」(今井さん、以下同)

卒業後は1年間、新宿の「ルミネtheよしもと」で雑用などをこなします。見習いのため、そこでの収入はゼロ。しかし今井さんはそれでも一切気を抜きません。どんなことも前向きに頑張って取り組んでいるうちに、先輩の構成作家さんや芸人さんと仲良くなり、徐々に仕事をもらえるようになったそうです。

「見習いのときは“自分は雑用”と割り切っていたので、本当はお笑いがやりたいのに、とかネガティブな考えを持たず振られた仕事をしっかりやろうと思っていました。『面白い』と思われるよりも『こいつしっかりしてるな』と思われることを意識して動いていました」


分岐点はあのお笑いクイーンのブレイクだった


お笑いライブでの構成作家の仕事は、芸人さんが作ったネタにアドバイスしたり、一緒にネタを考えたり、提案すること。「芸人さんとお客さん、その中間のポジションとしての視点が大事」だと今井さん。彼の名が業界内で知られたきっかけは“あの人”のブレイクがあったからだとか。

「(渡辺)直美と僕は吉本のNSCの同期でした。作家コースの卒業制作のような公演で、僕が書いたコントを先輩の芸人さんがやってくれたのですが、自分では『そんなにウケなかったな…』と反省していたんです。そんなときにたまたま見学で来ていた彼女が『面白かったよ! 自信持っていいよ!』と言ってくれたんです。後日連絡先を聞かれ、それから仲良くなりました。

彼女とはブレイク前から現在まで、ずっと一緒に仕事をしています。二人でコントを作ったり、打ち合わせしようって集まったのにカラオケに行ったり(笑)。彼女、歌うまいでしょう? だからカラオケでモノマネのネタが生まれたりもしましたね。表現力がケタ違いなんです。直美を見てて、芸人にならなくて良かったって思います(笑)」

その後、彼女は自分自身で編み出したビヨンセのモノマネで一気にお茶の間の人気者へ。このブレイクをきっかけに、それまで一緒に仕事をしていた今井さんの名前が業界内で一気に知れわたり、ラジオやテレビなどさまざまな仕事が入ってくるようになったそうです。


必要なのは「コミュニケーション力」と「プレゼン力」


今井さんが言うには、売れている人気の構成作家にはある共通点があるそうです。

「面白い、頭がキレる、というのは当然のこと、人当たりが良く気遣いができて誰にでも平等に優しい…そんな人格者が多いですね。僕たちは芸人さんのようにテレビに出るわけではないので、自分の名前で作品が世に出るわけではありません。だから、仕事で接した人としか仕事が生まれないんです」

では、構成作家として必要なスキルは何なのでしょうか?

「プレゼン力でしょうか。自分が考えた企画をどう面白く見せテレビ局の人を納得させるか、それが一番大事だと思います。どんなに面白い発想ができても、それを人に伝える力がないと採用してもらえませんから。

僕もそんなにプレゼンが得意なほうではありませんが、文書ファイルで企画を提出するときは、どの順番で書くかということまでじっくり考えます。企画だけではなく常に自分自身をどうプレゼンするかも大事なんです」

構成作家はタレントと同じように事務所に所属する人とフリーランスで活動する人に分かれるそうですが、フリーランスで働く今井さんに、構成作家の気になる収入について聞いてみました。

「本当にピンキリですよ(笑)。僕の場合、お笑いライブのネタは1本数千円?数万円。ライブは収入というより先行投資として割り切って受けていますね。

テレビ番組も、予算や規模感によって幅があり、数万?数十万と大きく変わってきます。僕は10年この仕事を続けてきて、一番収入が多い月で100万円に届くか届かないかというほどですが、売れている構成作家さんの年収はそれこそ億単位になってきます」


自分の頭の中を世界に発信できる


そんな構成作家としての仕事のやりがいについて、今井さんはどのように感じているのでしょうか?

「まず、フリーランスの構成作家は(事務所所属も含む)基本的に歩合制なので、一番大変なのは給料が保証されていないことではないでしょうか。今年度何百万と稼いだとしても、来年はゼロかもしれません。そのため、安定を求める人には向いていない仕事かもしれません。あとは時間が不規則なので、体調管理は自分自身でしっかり行う必要があります」

ただ、それ以上に“やりがい”がある仕事だと今井さんは続けます。

「番組にしてもコントのネタにしても、狭い会議室で雑談していた内容が気づいたら形になって、テレビやネットを通じて日本中、さらには世界中の人たちに届く。そこに大きなやりがいを感じます。ネタ作りのサポートをしていて『こうしたら?』と助言したところがお客さんにウケたときはうれしいのですが、それ以上に快感を得るのは、自分が考えた企画で演者さん自身が笑っているとき。

自分が作った企画がテレビで流れているのを見ると『自分が書いていなかったらこの場面はどうなっていたんだろう』って、不思議な感じと同時に充実感も湧きますね。

コントを書くのが好きな僕は、日常の中で少しでも変わった出来事があったら『今の出来事、こういう流れでこうしたらコントになるな…』とすぐに考える癖がついています(笑)。

構成作家とは、演者さんや制作が一つの作品を作るために、アイデアという花を添えていく仕事。楽しさも難しさもありますが『良い作品を創りたい』という思いは一つ。

ただお客さんたちには自分たち裏方の影を感じさせたくないので、『居るんだけど、見えない』くらいの立ち位置で仕事をするように心がけています」


石の上にも…10年!? 積み重ねた経験をもとにステップアップ!


10年間、構成作家として活躍してきた今井さんですが、今後の夢があるそうです。

「スタジオの台本やコントなど、ストーリーを書くのが得意なので、今後は宮藤官九郎さんや三谷幸喜さんのように、構成作家から脚本家になって映画の脚本を書くことが夢です」


10年間アイデアや企画をひたすら作り続けた今井さん。その重ねてきた努力や経験が強固たる土台となり、さらなるストーリーを展開していくことでしょう。

数年後、私たちを笑いの渦へと引き込んでくれるのは、彼が手がけたシナリオなのかもしれませんね。

(取材・文:ケンジパーマ)


識者プロフィール


今井太郎(いまい・たろう)
兵庫県出身。2007年に構成作家としてデビュー。主な担当番組に「あらびき団」「オモクリ監督」「ユミパン」「FUJIWARAのありがたいと思えッ!!」「イチハチ」「全力教室」など。お笑い芸人の座付き作家も担当しており、渡辺直美、シソンヌ、囲碁将棋、ニューヨークなどのネタ作りに協力している。2014年にはシソンヌをキングオブコント優勝に導く。


※この記事は2017/03/24にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています
《編集部》

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