JINS MEME開発者に聞く 仕事の効率化につながる「集中力マネジメント」とは?

「あなたは仕事にかける時間のうち、どれくらいの間“集中”することができていますか?」ーそんな問いかけがあっても、明確な答えを返せる人はほとんどいません。それは「集中力」というものが、見ることのできないものだからです。

JINS MEME開発者に聞く 仕事の効率化につながる「集中力マネジメント」とは?

「あなたは仕事にかける時間のうち、どれくらいの間“集中”することができていますか?」ーそんな問いかけがあっても、明確な答えを返せる人はほとんどいません。それは「集中力」というものが、見ることのできないものだからです。

そこで今ひそかに注目されているのが、集中力を計測し、仕事の効率化を図るという「集中力マネジメント」。ー体どんな効果を得ることができるのか、株式会社ジェイアイエヌJINS MEMEグループ開発担当で、人の「集中力」について研究をしている井上一鷹さんにお話を伺いました。

集中力マネジメントとは?


JINSが展開している「集中力マネジメント」は、メガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」(ミーム)と専用スマホアプリ「JINS MEME OFFICE」で、オフィスワーカーの集中力の“見える化”を補う、という新たな試みです。トレーニングアプリとして連携アプリもリリースされており、それぞれのアプリのガイダンスにしたがうことで、集中力を高めるトレーニングも行えるそうです。

井上さん(以下、井上):「日本の企業は、ホワイトカラーの方の生産性が低い、という課題を抱えています。昨今のビジネスではマルチパーパスなデバイスも溢れかえっていますが、人の脳は2つのことを並行処理できないので、タスクを同時に処理しているのではなく、スイッチして処理しているにすぎないんです」

人が何かに集中するには「23分」もの時間を要する、という研究データがあります。1時間のうちに何十通ものメールを確認するということは、数分に1回、タスクをスイッチしているということ。「23分」という時間を鑑みれば、ビジネスパーソンは1日のうちで“一度も仕事に集中していない”という可能性すらあるのです。

井上:「現に、私たちオフィスワーカーは『今日の仕事はどうだった?』と聞かれても、『まあまあかな』くらいにしか答えられないじゃないですか。ハイパフォーマンスを発揮している瞬間をKPI(目標達成のためにモニタリングされる評価の指標)として分かるようにしたい、というのが集中力マネジメントの目的なんです」

集中力は“まばたき”の回数に表れる!?


そもそもなぜメガネ・アイウエアブランドのJINSが、「集中力マネジメント」の領域に踏み出したのでしょうか。

井上さんら開発チームは、東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授、予防医学研究者の石川善樹博士らとチームを結成し、さらにはプロのアスリートの方の協力の下、研究を重ねてきました。そうした共同研究から分かったことの1つが、人の集中力は人間の“ある心理的動作”によって計測することができるということでした。


その動作とは「まばたき」。そのまばたきを計測するツールとして、メガネ・アイウェアがつながったというわけです。

通常、私たちは1分間に「平均20回程度」のまばたきをしているといわれています。しかし、テトリスのようなゲームをしている人のまばたきを観測すると、その回数は3回程度。何かの作業に没頭しているとき(この状態を「フロー状態」といいます)、人のまばたきの回数は少なくなるのです。

何かに没頭してフロー状態に入ったときに、まばたきの回数が減るのはなぜでしょうか? それは、まばたきが脳の情報処理におおいに役立っているからだそう。

井上:「まばたきをする理由は、よく知られているように“目が乾かないようにする”ことと、“情報を区切る”ために行うことが分かってきています。人は、情報が分かるためには、“分ける”必要が出てきます」

脳の活動が活発になると、一度に処理できる情報量があがるため、脳が受け取る情報を多く集めてから、“分ける”ようにしても、まとめて情報処理できる状態になります。そのため脳の活動が活発になればなるほど、まばたきの回数が減少するというわけです。

集中力マネジメントが目指す「超集中状態」とは?


まばたきの「回数」に加え、まばたきの「強度の安定」も集中状態に影響すると、井上さんはいいます。

井上:「理想的なのは、まばたきの回数が少なく、かつ、強さが安定している状態。フロー状態『超集中状態』(ゾーンなどともいいます)に至ると、この理想的な状態になります」

「超集中状態(ゾーン)」という言葉、皆さんもどこかで一度は聞かれたことがあるのではないでしょうか。スポーツ心理学の分野で研究が進められる最近のトレンドで、一流のアスリートは自らその状態をつくることができるといわれています。しかし一流のアスリートではない私たちが、何の頼りもなしにそれを実現するのはほとんど不可能なことです。

 

集中力を発揮できるTPOを知ろう


では、集中力の見える化、さらには、集中力マネジメントによって、オフィスワーカーの働き方はどのように変わるのでしょうか。

まずは「おのおのが集中力を発揮できるTPO(時・場所・場合)を知ることができる」ということ。皆さんも仕事に集中できる時間帯を指して「自分は朝型人間(もしくは夜型人間)だから…」など言ったことがあるのではないでしょうか。

たいていの場合、上司はそんな言葉に聞く耳を持ってくれません。「朝型」「夜型」の根拠が乏しく、また、ある意味で感覚的な表現なので仕方はありませんが、「仕事に集中できる時間帯は人の遺伝子によって決まっている」という研究結果もあり、昨今、ないがしろにできなくなってきていることもまた事実です。

集中力マネジメントでは、どの時間帯に集中しているかをはっきりと知ることができるそう。

また「静まりかえったオフィスのほうが働きやすい」「少しガヤガヤした場所のほうが働きやすい」など、人によって集中できる場所もあります。井上さんの場合、「集中力」を計測したところ「オフィスが最も集中できない場所(笑)」という結果に。オフィスよりカフェ、カフェよりも公園のほうが集中できることが分かったといいます。

組織マネジメントの指標になる


もう1つの大きな変革は「プロジェクトや組織のマネジメントの指標として活用できる」ということです。

井上:「いつ、どこで、どういう状態で集中できるのかを計測・可視化することは、社員一人一人の集中力に適した環境を、管理者が知ることにもつながります。プロジェクトや組織のマネジメントの指標としてもぜひ活用していただきたいですね」

企業内でダイバーシティ(人材の多様化)の動きが広まっている昨今、「人それぞれの働き方」を許容することが求められています。しかしこれまで「どんな働き方がその人に適しているのか」まで議論が至ることはあまり多くありませんでした。

集中力の見える化によりおのおのに適した環境を知ることで、仕事の成果が何倍にも膨らんでいくー。今後は、多くの企業でそんな取り組みが増えていくのかもしれませんね。

世界初…? JINS MEMEから始まる、未来の面接プロジェクト


現在インテリジェンスでは、今回ご紹介したライフログデータ計れる「JINS MEME」を利用して面接の可能性を探る、未来の面接プロジェクトが始動しています。


これは「JINS MEME」を使用して集中力・ストレス耐性・生活スタイルのデータを解析し、企業側で同様に取得したパフォーマンスの高い社員のデータと重ね合わせてシンクロ率の測定をするというもの。

データを通して、自分にぴったりの会社や職種へのフィット率がより高くなることが期待できそうですね。未来の面接は「メガネをかけて生活する」ことから始まるのかも…!?

さらに詳しい情報を知りたい方はDODA未来の面接プロジェクト~ライフログで出会う未来の仕事~をご覧ください。


(参考リンク)
JINS MEME / TURN IT ON ー見るから知るへ
JINS-MEME.FIT

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識者プロフィール


井上一鷹(いのうえ・かずたか) 株式会社ジェイアイエヌ JINS MEMEグループ 事業開発担当 1983年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒業後、Arthur D. Little Japan, Inc.に入社。2012年ジェイアイエヌに入社。社長室、商品企画グループマネジャー、R&D室マネジャーを経て、現職。JINS MEME開発に携わる。

※この記事は2016/08/18にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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