イメトレを制するものがビジネスを制す!「なりたい自分」の土台をつくるメンタフ・ダイアリー

仕事で失敗をしたときや、怒られてしまったけれどイマイチ納得がいかないときなど、気持ちを前向きに切り替えるまで時間がかかり、ズルズルと引きずってしまう……なんて経験はありませんか? 

はたらく ライフハック
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仕事で失敗をしたときや、怒られてしまったけれどイマイチ納得がいかないときなど、気持ちを前向きに切り替えるまで時間がかかり、ズルズルと引きずってしまう……なんて経験はありませんか? 

失敗経験はなるべく早くプラスに転換したいものですよね。

そんなとき役に立つのが、メンタルを鍛えるイメージトレーニング。イメージトレーニングと聞くと、スポーツ選手が行う印象が強いのですが、習慣的に行うことにより、自ら掲げた目標の達成や、理想のキャリアを形成するなど、ビジネスパーソンが仕事をするうえでも、とても役に立つ手段の一つだと考えられています。

今回は、ストレス耐性を鍛えあげて、ネガティブな感情をバネにして前向きな結果へと導くイメージトレーニング、「メンタフ・ダイアリー」のHOW TOについてご紹介するべく、帝京平成大学 現代ライフ学部教授、ライフバランスマネジメント研究所代表の渡部卓さんにお話を伺いました。


ビジネス現場にもイメトレは有効。ただし、習慣化することが肝心!


そもそもイメージトレーニング(以下、イメトレ)とは、「実際に体を動かさずにイメージを思い描くことによって、技術や戦術を習熟させるトレーニング方法」(大辞林)のこと。

イメトレはスポーツの世界で頻繁に活用されています。

例えばプロスポーツ選手の場合、試合を前日に迎えた就寝前など、リラックスした状態のときに試合で活躍している場面(なりたい自分)をイメージし、翌日の試合に臨むといわれています。

しかしイメトレはスポーツ選手に限らず、ビジネスパーソンにも有効です。

仕事を前向きにこなしたい、キャリアアップしたいなど――おのおのの人が「なりたい自分」の理想像を持っているのではないでしょうか。また、ビジネスパーソンに不可欠なストレス耐性を鍛え、ポジティブに仕事に取り組むメンタルづくりにもイメトレは役立つのです。

しかしイメージまではできるものの、それをどうやって達成に導けばいいのでしょうか……?

「イメトレは何よりも“習慣化”が肝心です。日々の継続がないと単なる空想で終わってしまい、現実的な効果は見込めません」

そう提言するのは、帝京平成大学 現代ライフ学部教授で、ライフバランスマネジメント研究所代表の渡部卓さんです。


イメトレに入りやすくする、“ABC理論”をおさえよう!


大学教授、ビジネスコーチ、産業カウンセラーのお立場から、健康経営、メンタルタフネス経営、メンタルヘルス対策、ハラスメント対策、ほめ方・叱り方研修、グローバル人材育成、リーダーシップ、コーチング開発……など、あらゆるシーンで研修や講演を行ってきた渡部さん。イメトレを習慣づけるためには、理解しておきたい「ABC理論」があると話します。

ABC理論とは、50年以上前にアメリカの心理セラピスト、アルバート・エリスが提唱した心理療法のこと。何かの「出来事=A」から「結果=C」に導かれるまでの間には「認知(受け取り方)=B」の過程があり、認知(受け取り方)次第で結果は違うものになる、とされる考えです。

ABC理論のステップ。Bの“認知”次第で結果は変わり、良い効果を導けることがある


「例えば、コップの中に水が半分だけ入っているとします。このときあなたは、『半分しか入ってない』と考えますか、それとも『半分も入っている』と考えますか?

ABC理論では“出来事”は必ずその人の“認知(受け取り方)”の過程を経てから“結果”へと導かれるとされています。さらにもう一歩踏み込んで、“認知(受け取り方)”に対して『反論(自問自答)=D』をすることで、よりよい結果に導く『効果・影響力=E』があらわれるとしています。カウンセリングやコーチングといわれる一連の手法は、このDやEの部分に該当するのです」

その「B=認知(受け取り方)には『イメージ』も含まれる」、と渡部さん。自分にとって良い影響を与えるイメージを受け取り、それに対する反論(自問自答)によって、どれだけプラスの「効果・影響力」を生み出すか。それが「イメージトレーニング」の本質だといえそうです。


今日から実践! メンタフ・ダイアリー


ではABC理論の考え方をいかにして習慣化すればよいのでしょうか? 渡部さんが推奨しているイメトレの1つであり、また渡部さんによるメンタル対策研修やコーチングで使われているものに「メンタフ・ダイアリー」があります。

「メンタフ・ダイアリーは、ABC理論を応用した日記のこと。

その日の出来事を(1)その日起こった出来事、(2)そのときの気分、(3)その気分の強さ、(4)そのとき頭に浮かんだこと、(5)なぜそう考えたのか、(6)別の自分ならどう思うか、(7)現実的な着地点、(8)気分の強さの変化、(9)自分の考えは偏っていたか、の9項目に分けて書き綴り、“認知”をセルフトレーニングするんです」

では、実際にメンタフ・ダイアリーはどのように書けばよいのでしょうか。

「会社の後輩に対するネガティブな感情」を想定して、プラスの結果へ導けるよう、実際にやってみましょう。

(1)その日起こった出来事 →後輩の段取りが悪く、お客さんとの打ち合わせが不調に終わった

(2)そのときの気分 →あれほど「準備は念入りに!」と言ったのに!

(3)その気分の強さ →怒り90%、不安感80%

(編者注:具体的な数字に落とし込むのがポイントです。計100%でなくてもOK)

(4)そのとき頭に浮かんだこと →もう別の担当者に替えてもらおうかな

(5)なぜそう考えたのか →同じことが繰り返されそうだから

(6)別の自分ならどう思うか →後輩を忙しくさせていないか? 分からないままやらせていないか?

(編者注:(4)で考えたこととは反対の思考をすることを意識してみましょう)

(7)現実的な着地点 →後輩の仕事全般のバランスをマネジメントし、サポートしてあげる

(8)気分の強さの変化 →怒り50%、不安感20%

(9)自分の考えは偏っていたか →今回の件だけに注視し、先輩としての責任をまっとうできていなかった


「このダイアリーを続け、ふだんのあらゆる出来事に対し自問自答を繰り返すことで、よい結果へと導くための『認知能力』が養われます。自分の心の状態は、このように見える化しない限り、客観的にはなかなか分からないもの。これを日記という手段で習慣化することで、自分の心の状態をコンスタントに記録し、可視化することができるのです」

ただこうなりたい、ああなりたいと瞬間的に「思う」だけではなく、まず本来の「なりたい自分」とは何かをじっくり考える際にも、ここで鍛えられた「認知」の力が役立つことでしょう。


メンタルを整えることが、なりたい自分に近づく第一歩


渡部さんは最後にこう話します。

「イメージを“可視化”しながらメンタルを調整していく――メンタルをマネジメントするとはそういうことです。

それが分からないままイメトレを始めてしまうと『プラス思考で頑張ろう』とか『みんなで結束して頑張ろう』とか現実的なビジョンがなく、荒唐無稽なまま終わってしまうことが多い。また数字、金銭、出世、地位、資格、あとは、特定の人への過大イメージに心酔するのではなく、もっと自分がハッピーになれる『結果』を具体的にイメージしてみるのがよいでしょう」

失敗をうまく受け止めきれず落ち込んでしまい、漠然と「ポジティブになりたい!」なんて思っていたりしませんか? その着地点に向かうためには、まずは自分のメンタルを観察することを習慣にするのが近道のよう。何かを成し遂げるには、基礎や土台づくりは大事なことなのです。

ネガティブに陥りがちな考え方を見直して、毎日9項目を書き出すことで、少しずつ「なりたい自分」へ集中する力や自信を身につけていけるのかもしれませんね。1日10分もあればできる「メンタフ・ダイアリー」、あなたも今日から書き出してみませんか?

(取材・文:安田博勇)

識者プロフィール
渡部卓(わたなべ・たかし)
ライフバランスマネジメント研究所代表、帝京平成大学現代ライフ学部教授。産業カウンセラー、認定ビジネスコーチ。早稲田大学政経学部卒業後、モービル石油入社。米ノースウェスタン大学においてMBAを取得。日本ペプシコ、AOL、日本シスコシステムズなどを経て、2002年に独立。企業におけるメンタルや離職対策、人材育成コーチングに詳しく、多くの講演と出版の実績がある。近著に『明日に疲れを持ち越さない プロフェッショナルの仕事術』(クロスメディア・パブリッシング)ほか多数。
LBM研究所HP:http://www.lifebalance.co.jp/

※この記事は2017/07/18にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。
《編集部》

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