1時間ごとに10分の半強制運動! 運動しながら仕事をするカフェに行ってみた

デスクワークと運動。一見、結びつかないこの2つの要素ですが、最近は仕事をしながら運動できるフィットネスクラブやデスク付きのルームランナーが開発されるなど、「運動しながら仕事をする」方法が注目を集めているのを知っていますか?

スタディ 雑学
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デスクワークと運動。一見、結びつかないこの2つの要素ですが、最近は仕事をしながら運動できるフィットネスクラブやデスク付きのルームランナーが開発されるなど、「運動しながら仕事をする」方法が注目を集めているのを知っていますか?

実は、体を動かすことで気分がリフレッシュし、仕事の効率が上がることが科学的に実証されてきているそうです。

東京・神楽坂にある「Co-nect」は、運動を取り入れながら仕事ができるコワーキングスペース。ここでは独自のメソッドにもとづき、仕事の合間に体を動かす時間を設けるプログラムを行っています。どうしても運動不足に陥りがちなビジネスパーソンにとって、体を動かせて仕事も効率よくこなせるのは一石二鳥。Co-nect代表の中山友貴(なかやま・ともたか)さんに詳しくお話を伺いながら、実際に体験もしてみました。


1時間に10分の運動で頭を活性化


木材をふんだんに使い、アースカラーをあしらったCo-nectの店内。「森」をコンセプトにした空間には、窓から光が燦々と降り注ぎます。

Co-nectが他のコワーキングスペースと違うのは、独自の「Co-nectメソッド」にもとづき、1時間に10分間の運動を半強制的に取り入れていること。こうすることで、デスクワーク中心の人が陥りやすい運動不足の解消や、集中力アップにつながるそうです。

中山さんによれば、Co-nectメソッドは長時間のデスクワークを行うビジネスパーソンが抱える3つの課題に寄り添って作られているといいます。

Co-nect代表の中山友貴さん


課題の1つめは「体内の換気量を上げる」こと。

「換気量とは、1回の呼吸で吸い込む(吐き出す)空気の量のことです。脳は体の中でもっともエネルギーを使う部位で、仕事中はフル回転しているのに、座ったままだと十分に酸素が行き渡りません。脳が酸欠になると、頭がボーッとして集中できなくなってしまいます。この状態を解消するのがまず1つです」。

2つめは「血液の流れを高める」、つまり血管を開いて血流を良くすることを目指します。

「長時間座ったままだと足に血液がたまり、上半身に血が回らなくなります。そうなると、脳に酸素を運ぶ血液が回らなくなるので集中力が途切れたり、眠くなったりしてしまうんです。運動することで血液をしっかり全身に巡らせます」。

最後の目的は、「思考のリセット」をすることだそう。

「作業を続けていると頭がボーッとしてくるのは、脳にたくさんの情報が詰まって、意図せずともマルチタスク状態になってしまうから。一度仕事の手を止めて運動に集中することで、それらの雑多な情報や感情をいったんリセットします。最近はマインドフルネスとも言われていますね」。

「この3つが、Co-nectメソッドの目的です。1時間に10分間の運動を取り入れることで眠気が解消され、集中力が上がる効果があります」。


椅子はなし! 作業スペースにも一工夫


さらに、仕事をする環境も一味違います。一般的なデスクと椅子があるだけ、というスペースはありません。Co-nect内にある作業スペースは「コックピットゾーン」「スタンディングデスク」「バランスボール」の3種類。

「コックピットゾーン」は半個室の作業スペースです。しかし地面から1メートル以上高い位置にあるここへたどりつくまでには、なんと「木登り」をする必要があります。

「手足をどう出すか、木登りって実は意外と頭を使うんですよ。そうして一度考えることで、脳がリフレッシュする効果があります」と中山さん。いざ目の前にすると、普段あまりすることがない木登りに一瞬、思考停止。そこまで高さがあるわけではないものの、登ったあとは達成感もあり、気持ちよく仕事に取りかかれそうです。中は外界から遮断されていて、集中できそうな雰囲気。思考を切り替え、集中して取り組みたい作業がある時に効果を発揮しそうです。

中に椅子はなく、いわゆる掘りごたつのような仕組み。目の前は外の景色が広がり開放的だが、他の利用者は視界に入らないので作業に集中できる。


地上から約1メートル引き上げた半個室であるコックピットゾーンに入るには、柱にランダムに生えた"枝"をつかみよじ登っていく。


「スタンディングデスク」は、その名の通り立ちながら仕事をする場所。ただ立つだけではなく、高反発のバランスマットかバランスディスクの上に立って作業を行うこともできます。人間の重心は多くの場合、左右どちらかに偏っていますが、バランスディスクを使うことで重心を中心に整えることができます。さらに骨盤や足の筋肉を使うため、立っているだけで普段の2倍のエネルギーを消費できるのだとか。


机の高さは自由に調節できるので、自分の体型に合わせて使用できる。


「バランスボール」は見たことがある人も多いでしょう。椅子ではなく、ボールに腰掛けて作業を行います。今回はこのボールに座りながら、実際に50分間仕事をしてみました。

ボールに座るとすぐにバランスをつかむことができたので、グラグラすることもなく、普通の椅子と比べて作業がしにくいという感覚はありませんでした。違ったのは、普段猫背になりがちな背筋がぴんと伸びていること。ボールに座って猫背になると重心が前になり、バランスが崩れてしまうので、自然と背筋が伸びるのです。中山さんによれば、猫背も背筋を使うので、その姿勢でデスクワークを続けていれば筋肉に癖がついてしまい、歩いている時も猫背になってしまうのだとか。普段は意識していない仕事中の姿勢が、どれだけ大切かをあらためて感じます。



50分という作業時間に関しては、作業をする前はちょっと短いかなと思っていました。しかし実際にやってみると、短いほうが時間内で終わらせようという気持ちが働き、適度に気が引き締まります。タイムリミットがあることで、より集中して作業に取りかかれるのかもしれません。


仕事内容に合わせて運動をカスタマイズ


50分間の作業を終えると、その場にいる利用者たちと10分間の運動タイム。全員が同じことを行うのではなく、トレーナーが一人ひとりと話し合いながら、その人に合ったプログラムを設定します。

この日は、年齢を問わず多くの人が悩まされている「肩こり」を改善するプログラムを体験しました。まずはストレッチをして筋肉をしっかり伸ばし、それから肩をぐるぐると回したり、腕立て伏せをしたり……。肩が凝っている時はその周辺の筋肉も疲れている場合が多いそうで、上半身全体をトレーニングします。

トレーナーの「しっかり筋肉が伸びているか意識してみてください」といった声かけに応じて体に神経を集中させていると、10分間はあっという間に終了。ほんの少し息が上がる程度の負荷ですが、終了後には肩まわりがかなりすっきりしたように感じられます。再び作業に入ったところ、先ほど行き詰まって後回しにしていた部分のアイデアがするすると出てきました。これも運動をしたことで、頭がリフレッシュされたおかげでしょうか。

“コーディネーター”と呼ばれるスタッフが指導。きつめのトレーニングの時には明るく声をかけて元気づけてくれる。


10分間の運動は、身体的な悩みだけではなく、仕事上の悩みに合わせて行うこともあるそうです。

「お客さんと話す中で作業の内容に合わせたプログラムを行うことも多いです。たとえば、『次の50分間はアイデア出しをするからいろんな考えが思いつくようにしたい』とリクエストがあった場合は、脳に十分な酸素が行き届くほうがいいので、呼吸数が増える有酸素運動を取り入れるようなプログラムにします。他にも、眠くなってしまったから眠気を解消したいとか、エクセルのデータをまとめるから細かい作業に集中できるようにしたいとか、本当に多種多様。要望に合ったプログラムを、会話をしながら見つけていきます」。

さらに、通い続けることで体つきに変化が出てくる人も多いとか。

「1時間あたり10分の運動と考えるとあまり多くは感じないかもしれませんが、3時間仕事をすれば合計30分運動することになります。それを日々続けていれば、男性であれば胸筋ができてきたり、女性は全体的にスリムになったりといった変化が起きても不思議ではありません。ジム通いが続かない人でも仕事の合間に運動を取り入れることで、ヘルスケアに効果があって、さらに仕事にも集中できることがお客さんに受け入れられている要因なんだろうと思っています」。

初対面でも仲良くなれる。運動を介したコミュニケーション


Co-nectは2017年1月にオープンし、現在2年目。利用者には神楽坂周辺で働くサラリーマンや、フリーランスとして働く人が多く、20代のビジネスパーソンも一定数いるそうです。

「30~50代の方は自分の運動不足に危機感を抱いていらっしゃる方が多いのですが、20代の方はもっとポジティブな印象です。集中力を維持するために運動を取り入れたいとか、仕事の合間に体を動かしてリフレッシュすることの効果を理解している人が多いですね」。

「あとは、職場の人間関係からいったん離れるために、ここで仕事をしているという人もいます。職場にいると上司とのコミュニケーションや、派閥のようなものを意識しなくてはならないことがあり、それを気にして疲れてしまうそうです。Co-nectではそうした人間関係はなく、その場に居合わせた全員で体を動かすというシンプルでポジティブなコミュニケーションがあるので、孤独になることもない。初対面の人同士が仲良くなっている光景もよく目にしますよ」。

会社とは違うコミュニティでゆるく仲良くなれるのも、コワーキングスペースの魅力のひとつ。この場所での出会いが、自分のキャリアに影響を与えることもありそうです。

社会人になり、長時間のデスクワークで体に支障が出て悩んでいるという声をよく聞きます。健康でいることは、私たちがこれから働き続ける上で大切にしたいことのひとつ。

近年、働く社員の健康を重視した企業の中には、スタンディングデスクやエアロバイクを漕ぎながら仕事ができるオフィスもあるそう。そうしたスペースを活用するのもいいですし、ない場合には自分で仕事の合間に「10分間の運動」を習慣にすることができそうですよね。仕事の合間に行う運動は、日頃の運動不足を解消できるだけでなく、仕事の効率までアップしていいことずくめ。ぜひ隙間時間をうまく利用してトライしてみてくださいね。

(取材・文:小沼 理/編集:東京通信社)

識者プロフィール



中山友貴(なかやま・ともたか)
1994年生まれ。茨城県つくば市出身。2017年1月に運動を取り入れることができるワークスペース「Co-nect神楽坂」を東京・神楽坂にOPEN。店舗立ち上げに際し、理学療法士、脳神経科学者、健康運動指導士と共に仕事や作業の合間に運動を取り入れる独自手法、コネクトメソッドの開発に携わる。現在では店舗の運営を行うかたわら、企業などでの出張トレーニングも実施している。
Co-nect:https://co-nect.co.jp/

※この記事は2018/02/26にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。
《編集部》

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