慶弔休暇は無給?有給? いざという時のために就業規則をチェック

今回は社労士の榊裕葵さんに、「慶弔休暇」の考え方やルールについて解説をしていただきました。

慶弔休暇は無給?有給? いざという時のために就業規則をチェック

結婚や出産、親族の不幸など、仕事以外に起きるさまざまなできごとを理由に、休みを取得しなくてはならない場面がいくつかあります。

その時に利用するのが「慶弔休暇」と呼ばれている休暇制度。20代のビジネスパーソンの中には慶弔休暇の知識が曖昧で、どのような規則で運用されているのか、何日ほど取得できるのか、不安に思っている方もいるはず。

そこで今回は社労士の榊裕葵さんに、「慶弔休暇」の考え方やルールについて解説をしていただきました。

慶弔休暇の基本的な考え方と仕組み


「慶弔休暇」を理解するための前段として、まず、休暇制度全般について説明をしましょう。

会社で働く人が取得できる休暇には、「年次有給休暇」「産前・産後休業」のように労働基準法で定められた法定の休暇と、「リフレッシュ休暇」「バースデー休暇」のように会社が就業規則などに基づいて独自に付与している法定外の休暇の2種類があります。

法定の休暇は法律で定められているため、ルールは明確で、どの会社で働いていても必ず取得できます。一方、法定外の休暇は会社独自の制度なので、休暇制度自体の有無や、休暇の内容は会社ごとに異なります。

ここで読者の皆さまへ質問ですが、「慶弔休暇」は法定の休暇か法定外の休暇か、どちらだと思いますか?

正解は、「法定外の休暇」です。

法定外の休暇であるため、就業規則や雇用契約書に定めがなければ慶弔休暇は取得できませんし、どのような場合に何日間の慶弔休暇を取得できるのかということも、就業規則や雇用契約書の定め方次第だったりします。

なお、就業規則や雇用契約書に定めがなくても、会社内の慣習として長期にわたり他の労働者に事実上の慶弔休暇が与えられていた場合、法的には労働者の権利とみなされます。自分だけが慶弔休暇を断られたような場合には、会社に交渉することが可能です。

慶弔休暇を取得するには?


それでは、国内における慶弔休暇の実施状況はどのようになっているのでしょうか。

まず、慶弔休暇制度自体の有無ですが、厚生労働省が実施した「平成28年パートタイム労働者総合実態調査」によりますと、正社員に対して慶弔休暇を付与している事業所は、調査対象となった企業のうち80.7%、パートタイマーに慶弔休暇を付与している事業所は40.8%でした。正社員に限れば、大半の事業所が慶弔休暇制度を導入しているということがいえます。

なお上記調査は、常時雇用する労働者数が5名以上の事業所を対象として実施。10,135事業所から有効回答があったということですので、比較的小規模な企業も含めて慶弔休暇の導入が進んでいるということがいえるでしょう。

それでは慶弔休暇の付与を前提として、どのような場合に休暇を取得できれば、平均的な慶弔休暇といえるのでしょうか。

これに関しては、厚生労働省が公表しているモデル就業規則が参考になります。厚生労働省のモデル就業規則は、以下のような定め方がされています。

(慶弔休暇)

第26条 労働者が申請した場合は、次のとおり慶弔休暇を与える。
(1) 本人が結婚したとき  __日
(2) 妻が出産したとき __日
(3) 配偶者、子又は父母が死亡したとき __日
(4) 兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母又は兄弟姉妹が死亡したとき __日
(厚生労働省 モデル就業規則より抜粋)


慶弔休暇を取得できる範囲については、多くの企業でおおむねこの厚生労働省のモデルに沿った就業規則で運用されています。

与えられる日数については、厚生労働省のモデル就業規則に特段の定めはありませんが、(1)は3日~4日、(2)は1日~2日、(3)は3日~4日、(4)は1日~2日程度が一般的な企業における平均値になっているようです。

慶弔休暇は法定の休暇ではないため、「うちの会社はなぜこういう場合に慶弔休暇がもらえないのだろう」「慶弔休暇の日数が少なすぎる」などと思った場合でも、会社に交渉をすることはできません。

とはいえ、社員それぞれに事情はありますから、たとえば「遠隔地に住んでいた祖父母の葬儀に行くには1日の慶弔休暇では足りない」というようなことが生じた場合には、年次有給休暇を組み合わせて対応する形になります。

慶弔休暇は有給扱いになるの?


慶弔休暇は、就業規則や雇用契約書の定め方次第で有給扱いか無給扱いかが変わります。有給扱いにしている会社が多いようですが、一部では無給扱いにしている会社もあります。

中小企業ではとくに、年次有給休暇をあまり消化できていない会社もあります。ですから、冠婚葬祭の際にはまず年次有給休暇を使ってもらおうという意図で、あえて慶弔休暇を無給扱いにしている場合もあるようです。

もし、慶弔休暇制度がない会社で冠婚葬祭に参加するために会社を休んだ場合、勤怠上は「欠勤」ということになります。急な「欠勤」の取得は昇給や賞与などの人事考課にあまり良い印象を与えないもの。ですから、正当な「休む権利」を得るための根拠として、たとえ無給であったとしても、慶弔休暇制度には存在意義があるのです。

慶弔休暇取得・申請の流れ


慶弔休暇の制度は会社によってルールが違いますので、自社の就業規則をしっかりと読んでおくことが重要です。どのような場合に慶弔休暇を取得できるのか、何日前までに誰に申し出るのか、いざ、何かが必要なタイミングが訪れた時に慌てなくてすむように、普段から就業規則に定められた慶弔休暇に関する条文に目を通しておきましょう。また、就業規則を読んで不明点があれば、上司や人事部などに確認をしておきましょう。

突然の訃報が入ってすぐに帰省しなければならない場合など、緊急の場合にどのように申請し対応すれば良いのか、また、業務が滞らないよう上司や同僚とともに"もしも"の時のフローも事前確認をしておきたいところです。

ほかにも、上司に結婚することを何も伝えず突然慶弔休暇を申請する、葬儀や通夜があって香典をもらったのにお礼をきちんとしないなど、慶弔休暇の取得・申請に関しては休暇の取得そのものだけでなく、社会人としての常識やマナーも問われる場面でもあります。上司や同僚ら周囲の人に対して不義理をしないように、充分気を付けてください。

まとめ


慶弔休暇は法律上の休暇ではありませんが、社員の私生活に配慮して会社が福利厚生として用意してくれている休暇制度です。

就業規則や雇用契約書に定められていれば社員として当然利用することができる権利ですが、慶弔休暇の利用にあたっては、会社や上司・同僚に対する感謝や配慮を忘れないようにしたいですね。

識者プロフィール


榊裕葵(さかき・ゆうき)ポライト社会保険労務士法人 マネージング・パートナー
上場企業経営企画室出身の社会保険労務士として、労働トラブルの発生を予防できる労務管理体制の構築や、従業員のモチベーションアップの支援に力を入れている。また、「シェアーズカフェ・オンライン」に執筆者として参加し、労働問題や年金問題に関し、積極的に情報発信を行っている。

※この記事は2018/02/07にキャリアコンパスに掲載された記事を転載しています。

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