ネガティブ思考を吹っ飛ばすために「脳を鍛える」? “がんばりすきない休み方”が仕事を楽にする

今回は『心のざわざわ・イライラを消す がんばりすぎない休み方』の著者、荻野淳也氏にお話をうかがいました。

ネガティブ思考を吹っ飛ばすために「脳を鍛える」? “がんばりすきない休み方”が仕事を楽にする

一生懸命頑張っても結果がでなくて焦ってしまう。もっと気持ち良く仕事したいのに、追い詰められたような気持ちになってしまう――。このように悩んだことは誰しもあるのではないでしょうか。

では日々、どのような心持ちでいれば、快適に前向きに過ごしていけるのでしょうか…!? 今回は『心のざわざわ・イライラを消す がんばりすぎない休み方』の著者、荻野淳也氏にお話をうかがいました。

「脳の筋トレ」をすれば仕事との向き合い方が変わる!




―― “がんばりすきない休み方”と聞くと、あまり大きな声では言えませんが、サボらずにうまく“抜く”ということでしょうか。

みんながみんな、毎日仕事に対して一生懸命っていうわけにもいきませんから。いまいち仕事に前向きになれない、仕事へのモチベーションが上がらないときがあって当然だと思います。

そんなときに実践していただきたいのが「脳の筋トレ」です。頑張れていない自分とか、サボりたい気持ちですね。「マインドフルネス」という言葉が流行っていますが、「マインドフルネス」とは、言わば「脳の筋トレ」なのです。

――「マインドフルネス」というと、まず「瞑想」が思い浮かんだり、語感から“マインドコントロール”のような印象を受けたりする人も多いと思うのですが。

確かにそのようなイメージを持つ人もいるとは思いますが、それは違います。「マインドフルネス」とは、「“今この瞬間”に注意を向けた状態」のことを言います。その状態を目指すためのやり方のひとつとして“瞑想”や“呼吸法”などがあげられているんです。

手詰まり感があったときとか、八方ふさがりでどうしたらいいか分からないというとき、そういう状態にもっていけるように行う「脳の筋トレ」だと思えば、「マインドフルネス」をより身近に感じられると思います。

「脳の筋トレ」と言っているのは、日々意識することが脳の鍛錬になるということです。

 ――日常生活で起きる、些細なストレスなどでも同じことが言えますか?

そうですね。例えば、毎日の習慣にもなっているSNSを例にあげると、その背景にあるのは「承認欲求」だと思うんです。LINEでいうと、「コミュニティに所属している」っていう欲求を満たしているわけです。でもそのコミュニティから外れてしまうと、自分の承認欲求とか所属欲求が満たされないから、頑張って既読スルーしないようにする。

――確かに「いいね!」をもらえると嬉しかったり、反応がないと焦ったり、ほかの人の方が“リア充”じゃないのかとネガティブになったりすることはあります。

そうですよね。なんとなく自信を失ってしまうから 「いいね!」をもらえないことを恐れる。でも本当はそんなことしなくても、その人はその人で価値があるわけですよ。例えばあなたの親友がSNSをやっていようがいまいが、その親友は価値がある。自分の兄弟とか親も同じですよね。

そこで大事なのは、「いいね!」がついてない状況に対して、「自分は『いいね!』を欲しがってたんだな」ってまず気づけるかどうかということです。自分の状況に気づいて立ち止まることが、「マインドフルネス」への第一歩なんです。それを続けて普段の脳の考え方を認識することで、ネガティブな感情を薄れていくと思います。

 ――では、なぜそういった気付きや、メンタルをコントロールするのに、脳を鍛える必要があるのでしょうか?

自己認識力を深めるためです。まず、自分が無意識に習慣化してしまっている「心のクセ」を知る。そして、なんでそう思ってしまうのかを理解することで、衝動的に考えていることから意識をシフトしていくようにする(「脳の筋トレ」)。

その結果、感情の起伏をコントロールできるようになっていけば、つい反射的な対応をせずにストレスの原因への対応を選べるようになる。そうなっていくための方法の入り口が「マインドフルネス」なんです。

――テニスプレーヤーのジョコビッチ選手や、サッカーの長友佑都選手とか、世界的に有名なスポーツ選手も「マインドフルネス」を取り入れていますよね。

フィジカルな能力が欲求される人だけでなく、ビジネス界でリーダーシップをとっている人たちにも支持されています。要は心の平静を取り戻す技術ということなんですよね。

――一般的な、つまり私たちのようにそこまで高い目標や結果を望んでいない人でもできるものでしょうか?

できます。さっき「脳の筋トレ」と言いましたが、トレーニングというのは続けていくことが大事ですよね。

武道の稽古と一緒というか、どんな人でもすぐブルースリーにはなれないわけですよ。でもつらい練習は続かないし、すぐやめてしまうのも事実です。

ただ「マインドフルネス」を目指すのは、ほんの少しのところからできるんです。例えば「今、している呼吸を認識して集中する」。1日、3呼吸だけでいいんですよ。「3呼吸だけ今を取り戻す」ってことなら、やりやすいでしょう?

――確かに、それだったらできる気がします。

いつでも誰でもできて、人と比べてジャッジしない。それが「マインドフルネス」のいいところなんです。

今日から始められるマインドフルネス



満員電車ではイライラを選ばない



 誰もがイライラする満員電車のなかで、イライラするか、心を穏やかにするか、どんな態度をとるのかを「自ら選択」してみてください。物理的に抜け出せない状況でイライラするのは当然。それを当然と認識したうえで、自分の心に選択の自由を与えることが大切です。

エレベーターの中で呼吸の数を数える



一瞬の移動時間を、「マインドフルネス」に使います。呼吸に集中しながらも、ほかの人のことや乗り過ごしたりしないように意識を外側に向け、また戻す。シチュエーションに合わせて集中力を使い分けていく練習になります。 

自分だけの秘密の避難場所を作る



「聞けば心が踊る曲」「ひとりになれるベンチ」「好きな人の写真」などここに戻ると心が落ち着くという自分だけの避難場所を作ります。仕事場など普段、長い時間を過ごす場所で「マインドフルネス」な状態に自分を引き上げることができます。

仕事の「チェックアウト」をする



今に集中したくても「やらなきゃいけないこと」が思い出されて、意識を切り替えられないときに、やり残したことを紙に書き出して「頭から仕事を抜く」。「今日は終わり」と自分を切り替えることで、その後の時間を豊かに過ごすことができます。

「SNS断ち」をする



便利なツールであるSNSも、自分の時間を逆にコントロールされてしまうことがあります。たまには近所に出かけるとき、スマホを家に置いていったり、返信は自分のペースでしたりすることなどで、自分の気分を自分で選択できるようにしましょう。

「話を聞く」というプレゼントを相手に贈る



当たり前に話を聞いているつもりでも、頭では別のことを考えていたり、反射的な言葉で相手の話の腰を折ったりしているときがあります。相手の話が終わるまで、相づちを打つことに100%の注意を注いでみることで、自分のエゴを出さずに相手を本当の意味で受け入れることができます。

「仕事に前向きになれない若者」。これもひとつの人生のプロセス



――ちなみに、今の20~30代のサラリーマンは、仕事に対して将来像をなかなか持ちにくいと考えている人が多いように思えますが、どうすれば前向きに進んでいけるようになるのでしょうか?

確かに不安材料は多いと思います。しかし、これから人生100年時代になっていくわけじゃないですか。そうするとたぶん、「何のために生きるか」っていう哲学とかミッションはあった方がいい。でないと相当つらい時代になっていくと思うんですよね。

――それが「楽したい」とか「プライベートと仕事は半分でいい」とか、その時々で思うことも変わってくると思うのですが。

それは、最終的に本当に自分の大事にしている価値観とか、自分が歩みたい人生は何なのか、などに行きつくためのプロセスとしてはあると思います。ただネガティブな思考というのは習慣化していくとクセになります。

たとえば、「仕事行きたくないな~」とか「この会社辞めようかな~」とか「あの上司、頭くるな~」というように毎日繰り返していると、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)にはまっている状態から抜け出せなくなってしまう。そうなると前向きな考えは浮かんでこなくなります。

――でも、自分の価値観というものも見つけにくい部分もありますよね。じゃ、お給料が上がればいいのかというと、それでいいのかと思う部分もありますし。

お金を持ったら幸せだと思うのは別にかまわないと思うんです。お金とか地位とか名誉などを「地位財」というのですが、幸せにはなれるんですよ。ただ長続きはしないということが、いろんな研究から分かってきている。これからの幸せは「非知位財」の部分が担っていくと思います。

――「非知位財」とは具体的には、なにを指すのですか?

例えば「国の安全」。戦争をしないとか。あと心身が健康であることですね。これを「ウェルビーイング」と呼んだりするのですが、今のままだと、2020年以降はどんどん経済はシュリンク(縮小)していくし、貧富の差も開いていく。

そこで「人生を豊かにするのはお金じゃないんだな」って気づけるかどうかも大事なことですね。

――「地位財」型の幸せから「非地位財型」の幸せにシフトすることで、人生を楽しく豊かに過ごせる可能性が高くなってくるということですね。

今の世界情勢からいうと、そういう傾向になってきていますね。結局、最終的にみんな、幸せになりたいわけで、そのためには今の自分の状況を認識してなにを選択していくか。

それを自分自身で判断するというスキルが必要になってきます。「マインドフルネス」もそのために活用できるひとつのスキルとして存在すると考えてもらえればいいと思っています。

 

『心のざわざわ・イライラを消す がんばりすぎない休み方』

著者:荻野淳也
出版社:文嚮社
発売日:2018年6月22日
判型:四六判
定価:1,100円+税

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