京都最古の福祉施設でみぃつけた。“働きやすさ”の要は〇〇〇だった!

新しくて良いものは、どんどん取り入れる”が、うちの施設の伝統です。

京都最古の福祉施設でみぃつけた。“働きやすさ”の要は〇〇〇だった!
(「めっちゃ照れますね・・・!」はにかみながら、素敵な笑顔を見せてくれたスタッフの皆さん。施設内にて。)

あなたは、福祉や介護にどんなイメージがありますか?

「社会的意義が大きい仕事」という一方で、「体力的にきつそう」「まだ制度が整っていなくて働きにくいんじゃない?」・・・なんて感じられているかもしれません。

でも、スタッフの皆さんのこの笑顔をご覧ください。各個室に番地名がつけられた施設の中、インカムを活用してテキパキと動きながら、ご利用者やスタッフ同士で楽しそうに話す笑顔が印象的。取材後半には、園内保育園を活用されている2児のママさんスタッフのお話も伺いました。

取材の中から見えてきたのは、「歴史がある=古い=働きづらい」というイメージを見事に壊す、時代の変化に対応する姿勢と、施設全体に息づく“和の心”でした。

この記事が、あなたの身近な「働きづらさ」を解決する、何かのヒントになるかもしれません。

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スタッフから「自分の親を預けたい」と思われる施設



古都・京都。ここに2021年に100周年を迎える、京都最古の福祉施設・社会福祉法人『同和園』があります。

設立したのは、大西良慶和上(おおにしりょうけいわじょう)というお坊さん。

元は奈良・興福寺の住職で、京都市からの依頼を受けて、当時は存亡の危機にあった清水寺を再興した立役者でもありました。夜間ライトアップなどを企画し、現在のような名所を作り上げた名プロデューサー。新たな宗派を開宗したり、海外とも積極的に交流したりと、「新たなことに積極的に挑戦する姿勢」を持った、先進的な方だったそうです。

その良慶和上が、当時身寄りのないお年寄りのために作ったのが、同和園のはじまり。実は働くスタッフからも「自分の親・家族を預けたい」「将来的には自分も入りたい」と声があがるほど環境の整った施設として、現代に息づいていました。

一歩足を踏み入れると、館内には、ほのかにお香の匂いが漂い、掛け軸なども印象的です。ご利用者が過ごすのは、京都の街並みのようにデザインされた空間。なんだか旅館に来たみたい・・・!

訪れた人は誰もが驚く施設ですが、特徴的なのは設備だけではありません。

3年前から導入したインカムは、声を張り上げなくても、歩いて探し回らなくても、すぐにスタッフが駆け付けられる体制を整えるためのもの。まだまだ手作業の多い介護業界では、画期的と言える取り組みです。

スタッフ同士の連携が強まったことで、ご利用者が同じ薬を何度も飲んでしまう二重服用や誤飲の防止につながり、よりスムーズで安全なケアができるようにもなりました。スタッフ同士の距離が近くなり、作業も効率的になったことで、その分ケアサービスに専念できる体制が整ったのだそうです。

新しくても良いものは積極的に取り入れることで、ご利用者の安全を守るだけでなく、スタッフの負荷や作業量も減らすことができ、体力・気持ち・時間にゆとりを持ってケアができる仕組みができていました。

スタッフにも、ご利用者にも、無理をさせない。園全体が、笑顔あふれる和やかな雰囲気に包まれています。

この「和やかさ」・「和」こそ、これまで同和園が98年、ずっと大切にしていることでした。

 

”和”に込められた想い。まるで家族のように大切にできる存在に。

 

施設名にも用いられている”和”の由来となるのは、『和を以って貴し(とうとし)となす』ということば。聖徳太子が残した十七条憲法の一節です。

 “皆が仲良く、調和していくことが最も大切だ”という教えのことです。そこには、うわべだけを良く見せようとする関係ではなく、お互いにきちんと言い分を理解し合うことで生まれるものが、本来の調和として記されています。

まるで家族のように本音を言い合える関係の中で、一人ひとりの声を聴き、皆が調和して過ごせるように行動や在り方を変えていく…”和”の由来を知らなくても、施設名について深く考えたことがなくても、なんとなくずっと受け継がれ続けるもの。それこそが、良慶和上の目指した”和”の形なのかもしれません。

 

スタッフを大切にすることで、施設全体に”和”が広がる

 


(良慶和上のこと、園のこと、そして和について話してくれた、特別養護老人ホーム園長の竹田さんと人事総務部長の佐賀さん。後ろの額には”和”の文字。)

同和園が大切にしている”和”についての具体的な取り組みを、特別養護老人ホーム園長の竹田さん、この道21年の人事総務部長・佐賀さんに伺いました。

竹田さん「一番に考えているのは、“今頑張ってくれているスタッフの働きやすさ”です。スタッフを大切にすることで、ご利用者も大切にされる。良いケアとして還元できると考えているんです。これも、”和”の心が形になったものと言えるでしょう。」

その言葉通り、他ではなかなか見られないほど、きめ細かい制度が整えられています。

<制度・設備>
・スタッフのためのカフェ/食堂
・園内保育園
・マッサージ機のあるリラクゼーションルーム
・育児休業:2歳6ヶ月まで取得できる
・スクールイベント休暇:中学生までのお子さんのいるご家庭で、入学式・卒業式・運動会などに休みが取れる。(男女どちらでも・取得もしやすいそう!)
・資格を取るための休暇制度:実務者研修のスクーリング中は特別有給休暇を付与

<検討中の制度>
・奨学金の補助制度:奨学金を返済しているスタッフへの補助を行う制度。京都府の制度(http://www.pref.kyoto.jp/rosei/syuurousyougakukin/syuurousyougakukinn1.html)も活用しながら、出来る限りの補助ができるよう検討中。
・就学資金援助:学費の援助制度。学生時代にはアルバイトとして、卒業後は一定年数を同和園で就業してもらう制度。京都府と協力して、同和園独自で、より学生の負担を減らせないかを検討中。

事実、2013年に始まった京都府の「きょうと福祉人材育成認証制度」
(https://kyoto294.net/welfare/seido/)も、初年度に認証、2016年には上位認証を取得。当時、上位認証を取得できたのは京都府内で4法人のみでした。とはいえ承認を得るために新たに始めたことは何もなく、率先して様々な制度を取り組んでいたため、申請したら取得できたそう。

竹田さん「今、働いている人が安心できなかったら、どれだけ外部にアピールしても意味がない。スタッフの働きやすさを考えていったら自然とこうなった、という流れです。」

佐賀さん「同和園に来る前の道筋は人それぞれですが、同和園の家族になったからには、同じスタートラインに立ってほしい…アンケートを取ってスタッフの声を活かしたり、行政とタッグを組んで新たな制度を考えたりは、今後も続けていきたいですね。」

介護保険もなかった大正時代から令和の現代まで…常に施設にかかわる人と、時代のニーズを読み解いてきたからこそ、スタッフもご利用者も安心して過ごせる空間ができているようです。

近年、取り上げられることの増えた「働き方改革」ですが、同和園では「改革」なんて大げさな言葉を使わなくても、柔軟に変化し続けるという伝統がありました。

竹田さん「これからも、時代に合わせて良いものを取り入れていく姿勢を、忘れないようにしていきます。」

 

これからもずっと、ここで。

 


(施設内の敷地・竹林に囲まれた園内保育園「ちくりん」。スタッフ専用なので、スペースを広々使えるそう。)

最後に、園のスタッフで現在2児のママ、育休中の山口さんにお話を伺いました。

山口さん「うちの園には、スタッフ専門の保育園があるんです。今日も3歳になるお兄ちゃんを預かってもらっています。日曜日も預けられるので、助かっています。」

生後5か月の赤ちゃんを抱きあげ、にこやかに答えてくださいます。

山口さん「1人目を妊娠したとき、それまで多くて1日2時間あった残業が、なくなりました。普段ユニット制で仕事をしているのですが、妊娠中、他のユニットからも応援に来てくれたり、急な休みにも対応してもらえたり・・・申し訳ないなと思う反面、とても心強かったですね。」

働く環境にゆとりがあるから、スタッフも子育てへの理解が深いそう。

山口さん「時間やシフトを決めることで、より柔軟な短時間勤務も可能になっています。いま助けてもらっている分、今度は私もみんなの支えになりたい。2人目の育休を終えても、またこの園に帰ってきたいです。」

山口さんの穏やかな声には、結婚・出産とライフステージが変わっても、スタッフから理解され、施設に受け入れられている実感がこもっていました。

 

取材後期



働く人、一人ひとりの想いを受け入れ、すべての声に応えるためにはどうすればいいかを、常に考えること。

同和園では、最善を模索し続ける姿勢で、より大きな”和”を生み出し続けていました。

誰かの「働きにくい」は、改善へのヒント。

だからこそ、どう働いていきたいか、過ごしていきたいか、一人ひとりが声を上げることが大切―――

ある意味で、“働きづらさ”をつくっているのは、実は自分自身なのかもしれません。働く一人ひとりが変化を恐れず声を上げ、行動を変えていく姿勢こそが、全員にとって居心地の良い”和”を作る第一歩となるのではないでしょうか。

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※本インタビュー記事は、京都府の「子育て環境日本一に向けた職場づくり行動宣言」に取り組む企業の中から、京都ジョブパーク主催「京都ジョブフェア」のご協力のもと制作いたしました。

【社会福祉法人 同和園】
https://www.dowaen.jp/
※本記事でご紹介した「社会福祉法人 同和園」を始め、働きやすい職場づくりに取り組む京都府企業など約240社が集結する合同企業説明会「KYOTOジョブフェア2019」が、12月15日(日)に国立京都国際会館で開催されます。
こんな職場で働きたい!と思われる方は要チェックです!

【子育て環境日本一に向けた職場づくり行動宣言特設サイト】
https://pref-kyoto-kodomohagukumu.jp/shokuba/


(京都府知事 西脇隆俊)

 

【2019年12月15日開催KYOTOジョブフェア】
https://kyoto-kigyo2.sakura.ne.jp/kyoto-jobfair/

 

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