今さら聞けない!お金のアレコレ┃第5回:会社員の社会保険

会社員なら、健康保険や雇用保険などに関することはすべて会社が処理してくれていると思っていませんか? 実は申請しないと支給されない場合も……。もらえるものはしっかりもらうためにも、自分の会社の社会保険制度を理解しておきましょう。

今さら聞けない!お金のアレコレ┃第5回:会社員の社会保険

実はよく分かっていない、お金のアレコレ。今さら聞けないという方もいるのではないでしょうか。 本連載は会社員が知っておきたいお金の「きほんのき」を分かりやすく解説します。

今回、先輩が教えてくれるのは、会社員の社会保険について。自分で申請しないと受給できないものが多く、勤務先の社会保険の制度をしっかり調べておきましょう。

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第1回:手取りと額面ってどう違うの?
第2回:源泉徴収の仕組みとは?
第3回:ふるさと納税って何がお得なの?
第4回:年末調整と確定申告



【登場人物】

後輩後輩:入社2年目の営業部員。やる気だけは人一倍だが、お金に関してはややルーズ。毎月、給料日前には財布の中がスカスカになるタイプ

先輩先輩:入社以来、総務、経理を経て現在は業務推進部に所属するベテラン社員。同じ大学を出た後輩にとって、何かと頼りになるセンパイ


給与から天引きされる社会保険料は3種類

 


後輩センパイ! 会社で加入している社会保険って、昨年分の源泉徴収票を見ると、かなりの金額になっているようなんですが、高くないですか……?

先輩そうだね。社会保険とひと口に言っても、実際の役割は種類によってそれぞれ違うから、ちゃんと理解していない人もけっこう多いね。ひとつずつ整理していこうか。

後輩ボクらが給与から天引きされている社会保険は、厚生年金と健康保険、雇用保険の3つですよね。

先輩その通り! 社会保険料はその3つだから、会社員は3種類あると覚えておけばいいだろう。

ただ、社会保険というのは会社員なら厚生年金保険と健康保険で、自営業者などの場合は国民年金保険と国民健康保険になる。雇用保険は正式には労働保険という枠組みで、労働保険には雇用保険のほかに労働者災害補償保険、いわゆる労災保険もあるんだ。

後輩労災って、聞いたことあるけれど、保険料は引かれていましたっけ?

先輩労災保険は会社が保険料を全額負担しているから、給与から保険料は引かれていないんだ。でも、業務中や通勤途中での事故やケガなどに一定の補償があるから、雇用保険と同様に、会社員ならではのメリットの一つと言えるね。

後輩厚生年金については、自営業者などの国民年金より、老後にもらえる年金が多くなることがいちばんの特徴ですよね。

先輩そうだね。公的年金の仕組みとして、国民年金は日本に住む20歳以上、60歳未満の人が全員加入することになっていて、会社員や公務員はそのうえに、厚生年金も乗っている二階建ての構造だから。

後輩えぇ~っ! でも、ボクらは国民年金の保険料は払っていませんよね。

先輩会社員などの国民年金の保険料は、厚生年金全体から拠出しているから、個人では払っていないけど、老後は加入期間に応じた国民年金からの老齢基礎年金と、厚生年金からの老齢厚生年金の両方が受け取れるんだよ。

後輩なるほど、会社員は二階建ての分、受け取る年金額も多くなるというわけですね。

先輩老齢厚生年金は、加入期間と年収に応じて年金額を計算するから、できるだけ長く加入して、年収も高くなれば、それだけ将来の年金額も増えることになる。


厚生年金には3つの保障があり、健康保険や雇用保険の給付もいろいろ

 


先輩公的年金(厚生年金、国民年金)には、3つの保障があるんだ。老後の生活を支える老齢年金のほかに、本人が障害を負ったときに受け取れる障害年金と、万一の際にその人に生計を維持されていた妻子などが受け取れる遺族年金だ。

自営業者などの国民年金にも同じ3つの保障があるけれど、厚生年金の加入者は二階建ての分、老後の年金だけでなく障害年金や遺族年金も手厚くなるんだよ。

ちなみに、今話題になっている年金改正案のひとつで、パートなどで働く人が厚生年金に加入するには、一定の勤務時間や賃金月額を満たすほか、従業員が501人以上の企業という要件があるんだけれど、この従業員規模が段階的に引き下げられて、加入者を増やす方向になっているんだ。


後輩厚生年金に加入する会社員は国民年金だけの人より有利だから、パートで働く人でも、加入できるならしたほうがよさそうだけれど、問題は保険料かな……。

先輩厚生年金の保険料は今、毎月の平均給与である標準報酬月額の18.3%だけど、労使折半で支払う仕組みだから、本人負担は9.15%。パートの加入条件になる賃金月額で、8万8000円の人なら、給与から引かれる厚生年金保険料は約8000円だ。

会社が半分負担しているのは健康保険料も同じで、雇用保険料は会社負担のほうが少し多いんだよ。

後輩そういう話を聞くと、やっぱり会社員は得かな、と思いますね!

先輩そうだろ。健康保険は病気やけがで医療機関にかかっても、自己負担は3割で済むほか、月に一定額以上の医療費がかかったら、一部を払い戻してくれる高額療養費の制度もある。さらに、会社員の健康保険は、自営業者などの国民健康保険にはない保障も多いんだ。

たとえば、今言った高額療養費については収入に応じた自己負担限度額があるけれど、一般的には月9万円弱を超えた場合に適用される人が多い。でも、会社によっては独自の上乗せ給付で、医療費が月2万円を超えた場合に、超えた分が払い戻される場合もある。

それに、産休中には出産手当金が受け取れるし、病気などで3日以上連続して会社を休んだときは、休業4日目以降に傷病手当金が支給される。これは最長1年半まで支給されるから、病気で長く働けなくなったときにも安心だろ。

後輩それ、聞いたことあります。××社に勤めている友だちが、病気で2カ月休職していたときに、傷病手当金があったから助かったって話していました。

先輩雇用保険にもいろんな給付があるぞ。会社が倒産したり、リストラされたりしたとき。自己都合で辞めたときに、再就職するまでの間、失業給付の基本手当が受給できて生活を支えられる。それから、資格を取ったりスキルアップのために勉強をするときも、指定講座の受講にかかった費用の一部を補助してくれる教育訓練給付金の支給を受けられるんだ。

後輩そうか……。そういう制度を使って自分磨きをするのもいいですよね。

先輩そうそう。育児休業中に支給される育児休業給付金も雇用保険から支給されるものだし、家族の介護で休業するときは介護休業給付金を申請できる。

後輩育児休業って、男性も取得することを国が促進しているから、ボクも子どもが生まれたら、育休取って給付金をもらおうかな。

先輩いいんじゃないか。ただし、その前に相手を見つけるのが先だろ(笑)。

 

負担と給付の仕組みを知って、かしこく活用しよう!

 


後輩そうはいっても、社会保険3つを合わせた保険料はけっこうキツイですよね。

先輩健康保険料は勤務先によって多少異なるけれど、天引きされる社会保険料は3つ合わせると給与の15%前後で、かつてと比べて重くなっていることは確かだな。

少子高齢化が進んで、保険料を支払う若年層の人口が減り、年金や医療の恩恵を受ける高齢者が増えているから、仕方ないんだ。

後輩介護保険も昔はなかった制度ですよね。

先輩そうだ、それもあったんだ。40歳以上になったら、健康保険料と一緒に介護保険料を引かれるから、覚悟しておけよ。

後輩はい。でも介護保険のおかげで、うちの祖父も介護サービスを安く利用できるって聞いたから、そういう仕組みは大事かなと思っているんです。

先輩身近にそういう人がいると、社会保険のありがたさがよく分かるだろうね。いずれにしても、社会保険は自分や家族に何かあったときのセーフティネットとして役立つものだから、負担と給付の仕組みを理解して、必要なときに上手に活用することが大事。

条件に当てはまるときでも、自分で申請しないと受給できないものが大半だから、勤務先の社会保険の制度をしっかり調べておくことが重要なんだ。

後輩ありがとうございます! お金まわりのことは何でも会社に任せっきりですが、支給対象となりそうな場合は、きちんと勤務先の制度を理解しておく必要がありそうですね。

先輩そうそう。「人生100年時代」で、まだまだ先は長いからな。

 

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第2回:源泉徴収の仕組みとは?
第3回:ふるさと納税って何がお得なの?
第4回:年末調整と確定申告

執筆者プロフィール
マネージャーナリスト┃光田洋子
出版社の雑誌編集部などを経て、編集者・ライターとして独立し、編集事務所インタープレスを設立。現在は家計全般、住宅、保険、税金などの生活まわりのお金について、MOOKや雑誌などの編集・取材を担当するほか、新聞・情報サイトなどにも執筆している。
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